アニメ化もされて大ヒットした「魔法陣グルグル」の作者、衛藤ヒロユキさんの経歴や作品について調査してまとめました。
漫画家なのに(失礼)イケメンの素顔や、「月刊少年ガンガン」で「鋼の錬金術師」を連載していた荒川弘さんとの関係や、交通事故にあったことなど、仕事からプライベートの面までお知らせいたします。
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衛藤ヒロユキさんの経歴と作品及び年齢について
衛藤ヒロユキさんは日本の漫画家です。出身地は大分県竹田市出身。生年月日は196X年1月19日。具体的な年数までは載っていませんでした。なぜかはわかりません。
中学生の時にはロックにはまっていたロック少年だったそうですが、大分県立大分上野丘高等学校時代には「綿の国星」や「毎日が夏休み」で有名な少女漫画家、大島弓子さんの漫画に強い影響を受けました。また、少女漫画、ファンタジー、オカルトなどのサブカルチャーに興味を持ち、はまっていったそうです。
はまりやすい性格のようですね。
高校を卒業した後、武蔵野美術大学に進学をしました。漫画研究会に所属をして、本格的な漫画を描き始めます。
そして1984年に創刊された漫画雑誌「季刊コミックアゲイン」内の新人漫画発掘企画「アゲイン漫画スクール」のニューウエイブコースに投稿をはじめます。2作目の投稿作「時計屋の娘 SEKUNDEN ZEIGER GENT TICK TICK TICK」が入賞をしました。
ちなみに、その時のペンネームは「ニノチカ・ひろゆき」でした。「二ノチカ」とはいったい何を指すのか。調べてみると「二ノチカ」という名前の映画がありました。主演はグレタ・ガルボ。ソビエト連邦を風刺したコメディだそうです。実際ここからとったのかどうかは、わかりません。
その翌年の1985年の2月冬季号(創刊3号)に入賞した漫画が掲載されてデビューをしました。また、5月冬季号(休刊号)にも「月猫郵便結社」が入賞して、再び掲載されました。
その後、一時的に漫画界から離れて、ブティック店員や輸入レコード店員などをしていました。
1988年頃、「ハイスコア」「V version」「ギターマガジン」等の雑誌でゲームライターやイラストレーターをしていた衛藤さんは、「ドラゴンクエスト4コママンガ劇場」に引き抜かれる形で参加をすることになりました。
その独特の絵柄とギャグセンスによって人気を博すことになりました。この頃から様々な雑誌でゲームを題材とした漫画を発表することになります。
1992年には「ゲームプレイヤーコミックス」で「FANTASY CPU Pico☆Pico」で初連載を始めました。しかし「ゲームプレイヤーコミックス」が7号で休刊してしまいます。そのため初めての連載は頓挫してしまいます。
しかし、同時期に「月刊少年ガンガン」で「魔法陣グルグル」の連載をはじめ、大ヒットをして、こちらの方は2003年まで続きました。全16巻。
「魔法陣グルグル」は「月刊少年ガンガン」を発行していたエニックスの大ヒットRPGゲーム「ドラゴンクエストシリーズ」のパロディによって成り立っている漫画です。
主人公のニケは、突然両親に自分が勇者であることを告げられ、魔法を倒す旅に出ることになります。そして旅の途中で魔法使いの家により、魔法使いのクリリとともに魔法を倒す旅に出ることになります。
というのが基本的なストーリーです。明らかに当時流行していた「ドラゴンクエストシリーズ」等のRPGゲームの手順のパロディになっています。
このストーリーの途中途中にこの漫画の登場人物は、ゲームプレーヤーの視点のツッコミ(メタ的視点)をセリフとして会話に挟みます。このメタ的視点が会話に挿入されると物語が停滞することになります。
この漫画の特徴は「魔法陣グルグル」は物語が停滞すると、その停滞を説明するキャラクターが新たに表れるのです。そのキャラクターの名前は「ドサクサ妖精」。状況が混乱してくると、上京が混乱することを説明するために大根を持ち「ダイコンランです」と叫びながら踊るキャラクターです。
これはギャグの中でも状況を説明しているギャグなのですが、そのキャラも漫画の中で説明されています。つまり「魔法陣グルグル」は物事について常にメタ的視点が導入されている漫画なのです。
「魔法陣グルグル」はキャラに職業やステータス表示がされ、キャラクター自体が常にタグ付けをされているのですが、それと同時に物語に対してもタグ付けがされています。
もともと「ドラゴンクエストシリーズ」自体が、古今東西の物語を勇者の魔王打倒のストーリーに取り入れた構成になっています。大きな物語は王様の命令で、姫を救うために竜王を倒す物語。それに付け加えられるのが町を守るゴーレム等、其々の土地の問題を解決するクエスト系物語。
「ドラゴンクエストシリーズ」以前のRPG はダンジョンを攻略するものが殆どで、有名なゲームに「ウィザードリィ」があります。これはいろいろな職業を持ったキャラクターを主人公が雇い、クエストを攻略していくゲームです。
「ウィザードリィ」の特徴はゲームのマッピングが3Dになっていて、主人公の顔が見えずに、常に一人称の状態であることが特徴でした。
それに対して「ドラゴンクエストシリーズ」はマップを2D化が常態なので、動かしている主人公のことや世界全体を、プレイヤーが常に鳥瞰、神の視点で確認することが出来るのです。
その世界全体を鳥瞰的視点で見ること自体が「魔法陣グルグル」の世界を形作るパロディの基盤になっているのです。
「魔法陣グルグル」の特徴はその部分のメタ視点とレイヤー視点が絡まりあっていて、ギャグに対して、読者にツッコミを入れさせるのではなく、あらかじめ作者がツッコミを入れているマニアックな構成になっているのです。
さらに「魔法陣グルグル」には「キタキタおやじ」という世界観を完全に破壊するキャラクターが登場します。このキャラクターはギャグマンガ的キャラというより、メタ化、レイヤー化された「魔法陣グルグル」や「ドラゴンクエストシリーズ」等のRPGにおいては、「もう一人の主人公」といった立ち位置になります。
引用元:しっぴーのへや
ゲームの場合は、あくまでプレイヤーが自身の分身キャラクターを操作しているのですが、この漫画においてはサブキャラクターが、もう一人の主人公となる構造を持っています。
つまりゲームの場合はメタ視点やプレイヤー視点では見ることが出来ない「もう一人の主人公」がかなりこの漫画では重要な役割を持っているのです。
ライバルキャラがもう一人の主人公になることはありますが、「魔法陣グルグル」の「キタキタおやじ」はメインのストーリーと全くかかわらない登場人物でありながら、もう一人の主人公として、行動をしている奇妙な形をしています。
他のゲームになるのですが「ファイナルファンタジーシリーズ」の「ギルガメッシュ」はこのキャラクターに近いでしょうか。ただ、「ギルガメッシュ」の場合はあくまでコメディリリーフの状態で、ゲームにはほとんどかかわりを持ちません。
「キタキタおやじ」の登場は、まったくジャンルが違う漫画のキャラクターが、ほかの漫画に登場したら、といった実験的な展開を見せています。
「キタキタおやじ」は結果的にスピンオフ漫画「魔法陣グルグル外伝 舞勇伝キタキタ」という形で他の漫画の完全な主人公という形で、発表されました。連載されたのは2008年から2012年まで。巻数は全7巻です。
その前に「魔法陣グルグル」の連載中に新たに始めた連載作品「がじぇっと」について書いてみたいと思います。
「がじぇっと」は「月刊コミックブレイド」に2002年から2005年まで連載されました。単行本は全3巻。中学生同士の恋愛をテーマに描いた作品です。
お互いに惹かれる心をテーマにして、それと同時期に現れた「ビビリアン」という奇妙な生き物を交えた物語。
「魔法陣グルグル」の主人公に内面が生じてきたような感じです。ただ、ゲーム的キャラクターというよりも、よりジュブナイル性が強いため、タグ付けも主人公が内面で行っています。
思春期の心の揺れ動きをリリカルの描こうとしているのですが、衛藤さんの資質であるレイヤー化、メタ化がうまく働かず、自家中毒を起こしている状態になってしまっています。
この漫画はかつて影響を受けた大島弓子さんへのオマージュとして描かれた漫画なのではないでしょうか。
青春とSFは昔から親近性が高く、大島弓子はそこに哲学性を取り入れたのですが、衛藤さん漫画かツッコミが、正しい大人の判断として働いていないように感じられるのです。
2006年からは「月刊少年ガンガン」で「衛星ウサギテレビ」を2007年まで連載しました。狭い世界を舞台にした物語を鳥瞰的に描いているのですが、キャラクターやストーリー展開自体はやはり、「魔法陣グルグル」の形をとっています。全2巻。
ただ、この漫画は前作「がじぇっと」よりも登場人物に内面が生じ、うまく物語化され、ユーモアも生じてきています。
2008年から2012年までは「舞勇伝キタキタ」を「ガンガンONLINE」に連載しました。
この漫画は先ほど記述した「キタキタおやじ」を主人公にした漫画です。物語を破壊するキャラが主人公の場合、どのようなストーリー展開になるでしょうか。
それは、常に周囲のキャラがツッコミを入れている話です。
RPGゲームにたまに物語が破たんしているゲームがあります。その場合はキャラ同士の会話はディスコミュニケーションの状態で、ストーリーが進みます。情報収集を行っても、正しい情報は得られずに、だけれどもその状態でもストーリーが続いてしまう。
雰囲気的には幻想的なRPGの「バロック」等にも近いでしょうか。ギャグに絡めて描いているので、内容自体はシュルレアリズムの雰囲気があります。
衛藤さんは高校生時代にボードレールやランボーなどフランスの象徴主義の詩人を読んでいたそうなので、その影響があるのかもしれません。
さらに2012年から「魔法陣グルグル」の続編の「魔法陣グルグル2」の連載を開始しました。この連載は2017年の現在まで続いています。
「魔法陣グルグル」の第二章で、また新しく旅に出るニケとクリリの冒険を描いています。前作の連載終了から9年たっていますが、物語は勇者たちが世界を救って2週間しかたっていませんでした。
しかし、「魔法陣グルグル」のクオリティは同じで流石衛藤クオリティといったところでしょうか。2017年までで7巻まででています。
今後も続く可能性が高そうです。
衛藤ヒロユキさんの絵柄や画風の変化について
衛藤ヒロユキさんの絵柄は高校生時代に読んでいた少女漫画家の大島弓子さんの影響が強かったそうです。大島弓子さんといえば「綿の国星」で猫の擬人化を行ったことでも有名で、それ以外にも「ロングロングケーキ」や「毎日が夏休み」など名作が数多く、作家の吉本ばななさん(現よしもとばなな)も強い影響を受けています。
その柔らかでありながら哲学的な物語展開が魅力的な作家ですが、衛藤さんの画風は哲学的というより、ストーリーの多様さに影響をうけたようです。
高校生時代にファンタジーやオカルトにはまったことからすると、物語を構造化することと漫画を描くことにつながりがあるのではないでしょうか。
ファンタジー及びオカルトとは物語を構造化して再構築することで新たな物語を作る行為です。
大島弓子さんは、ニーチェの代表的作品「スァラトストラかく語りき」に、記憶喪失をした高校生に重ね合わせて描いた「秋日子かく語りき」など、物語に哲学的視点を導入し、それをより客体で描くことで哲学やファンタジー、オカルトの持つ、物語を求める人間を病識のみで認識することをせずに、意志として取らえることに成功しています。
衛藤さんの持つ画風が「魔法陣グルグル」からよりポップ、よりファンタジー寄りになりながら、「キタキタおやじ」のような、場の空気にそぐわないキャラクターを多用するのは、衛藤さんが「リリカル」であることや「思春期」であることに対して「恥ずかしい」といった自意識を持っているからではないでしょうか。
後の「がじぇっと」では「恥ずかしい」感覚が失われてしまっていましたが、「衛星ウサギテレビ」には、新たに「リリカル」であることや「思春期」であることを肯定的するストーリーが現れています。そのためよりストーリー展開がジュブナイル寄りになっていくのです。
しかし、その場合、物語が構造化されることなく、また再構築されることもなくなっていくため、(つまりツッコミ用員が存在しなくなるため)物語が停滞することなく、すぐに終わってしまうのです。衛藤さんの場合は作画能力が高くなったため、ツッコミを入れる必要が本人の中で少なくなっていったのが原因なのかもしれません。
衛藤さんはその後「魔法陣グルグル2」を描くことになりました。それはファンタジー物語におけるツッコミの重要性を再確認させてくれる物語です。
私たちは「魔法陣グルグル」を頭の中に思い浮かべながら、自分たちが嘗ての思春期の中の恥の感性を持ちながら、リリカルであろうとすることに、さらに突っ込みを入れる自意識の存在を感じるのです。
画風の変容は、衛藤さんの場合、描き込みをが増えイラストの完成度が高くなり、本人と読者両者の納得が強くなり、ツッコミが減る物語と重ねあうようです。
衛藤ヒロユキさんの顔が実はイケメン(?)なことについて
衛藤ヒロユキさんは実やイケメンであることは有名らしいですが、ネットで探しましたが、顔写真は見つかりませんでした、自画像は眼鏡をかけているのが多いです。なんとなくテクノ系の雰囲気がある方ですね。
おしゃれな方なのか、自宅DJも行っているそうです。
衛藤ヒロユキさんのお嫁さんと結婚について
衛藤ヒロユキさんの結婚及びお嫁さんについて、ネットで検索したのですが、見つかりませんでした。もしかしたら結婚はしていないのかもしれません。
衛藤ヒロユキさんの交通事故について
衛藤ヒロユキさんと交通事故…。検索してみたのですが、衛藤さんが交通事故にあったことは特には描いてありません。事故にはあったのかどうかもわかりません。
ネット上では衛藤さんの絵柄の変化を交通事故にあったのか、といった書き方をしている人もいますが、それとは関係なく漫画家としての技量が上がったのでしょう。
衛藤ヒロユキさんと荒川弘さんの関係について
荒川弘さんは衛藤ヒロユキさんのアシスタントをしていたそうです。その期間は1999年から2000年までの約1年間です。このときに荒川さんは自作のファンブックにおいて、衛藤さんに漫画家としての漫画のノウハウを多数伝授されたと語っています。
その後、荒川弘さんは「鋼の錬金術師」を描き、大ヒットを飛ばしました。さらに「銀の匙」も好調で、自身のエッセイ「百姓貴族」も好調です。
私は荒川弘さんのことを、その少年漫画の王道をいく作風から男性かと思っていた時期があったのですが、実は女性でした。
荒川弘さんの記事は↓をご覧ください。
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魔法陣グルグル2 (1) (デジタル版ガンガンコミックスONLINE) | ||||
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