現代の漫画家の中でも特に画力が高い漫画家と思われる方を独断と偏見の要素も入れてランキング付けを行いたいと思います。
あくまで筆者独自の視点でのランキングであって評価というわけではないので、「そうかな?」と思うこともあるかも知れませんが、ご容赦ください。
また、ランキングに入っているということは画力が高い漫画家の中でもあえてランキングを付けているということなので、ランキングというよりも漫画の上手い漫画家の方を紹介するという内容になっています。
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漫画家画力高いランキング5位「三浦健太郎」
漫画が好きな人のなかで画力が高い漫画家として「ベルセルク」の作者、三浦健太郎さんの名前を出さない人はいないでしょう。
もともと「ベルセルク」自体がファンタジー漫画ながら重層的なストーリー展開が魅力の漫画です。なので、そのストーリーを支える漫画家である三浦健太郎さんのイメージの強さをそのまま伝える事が出来る画力を持っていることが「ベルセルク」の魅力に繋がっているのです。
アクションの描き方が上手いのも特徴で、構図や構成の基本概念が成り立っているということです。
また「ベルセルク」を休載している間に描いた「ギガントマキア」は士郎正宗さんの「アップルシード」ともつながるハイ・ファンタジーの形をとりながら、その戦いを「神々のプロレス」となぞらえた奇妙な作品でもあります。
一つ一つの描写や線が魅力の漫画であり、漫画を読むことの楽しみに満ちた作品を提供することが出来る漫画家の1人です。
漫画家画力高いランキング4位「井上雄彦」
前述したように漫画における画力とは、自分のイメージをストーリーになぞらえて描く力です。なので、漫画における画力とは所謂デッサンの上手下手とは違う次元で捉えることが出来ます。
その中でも、井上雄彦さんは描写力と漫画としての面白さを伝えることが出来る稀有な漫画家の1人です。
「SLAM DUNK」が連載を始めた時、まだバスケットボールは流行していませんでした。しかし「SLAM DUNK」が人気になったためバスケットボールが流行するという現象が生まれたということは、それだけ「SLAM DUNK」という漫画に説得力と魅力があったということでしょう。
当時「週刊少年ジャンプ」に連載していた「SLAM DUNK」を読んでいた少年たちはバスケットボールの魅力に虜になり、バスケットボール部活動が盛んになり、大きな意味でのスポーツというものの面白さの本質に気づいたのではないでしょうか。
また「バガボンド」の連載が始まったときも、当時の雑誌などのライターの中には驚愕して「井上雄彦さんが劇画を描き始めた」ということを書いていた人もいました。しかし実際の井上雄彦さんはインタビューの中で劇画風、所謂漫画の描き方とは別の描き方をすることが非常に楽しかったと語っていました。
現在も連載されている「バガボンド」(バガボンドとは英語でVagabondと記述をします。特に意味は放浪者や無宿人を指す言葉です)は実際に存在した宮本武蔵とも違い、原作とした吉川英治の「宮本武蔵」とも違う井上雄彦版「宮本武蔵異聞」ともいえるストーリー展開を見せています。
特に佐々木小次郎がろう者(耳に障害がある人を指す)であったり本位田又八が宮本武蔵の講談者となり語り部として存在していたりと独自の解釈が入れられており、読者や評者の心配も杞憂ということがわかりました。
井上雄彦さんは現在「バガボンド」と「リアル」以外にも多彩な漫画家活動をされています。独自の筆致と確かな描写力は新たに読者を驚かせるような作品を作るのではないでしょうか。非常に楽しみな漫画家の1人です。
漫画家画力高いランキング3位「岸本斉史」
週刊連載の開始当初から漫画家として殆ど完成された領域に達していた「NARUTO」。この漫画は作者である岸本斉史の描きたいテーマが明確であり、そのテーマから外れることなく最後まで描き切るという少年週刊ジャンプ連載漫画作品としては稀有な達成をした漫画だと最後まで読んでいた私は一読者として感じました。
「NARUTO」の特徴はバトル描写の映像感覚です。構図の一つ一つに凝りながらも、ほとんど無駄のない線で描かれた作品は今の所、私は「NARUTO」以外では知りません。
岸本斉史さんは自分自身の漫画の影響を大友克洋さんの映像作品「AKIRA」から得たそうです。
そして「AKIRA」というアニメーション作品に到達するのが自分の漫画の目標であり、自分自身の描きたい漫画のためにあらゆる努力をする岸本斉史さんはまさに漫画家の鏡ともいえる存在なのではないでしょうか。
「NARUTO」の連載が終了した現在、岸本斉史さん自身は連載作品を持たずに「NARUTO」の続編であり、なおかつ親子関係をもつ「BORUTO」の監修を行っているそうです。
一読者としてはまた岸本斉史さんの作品を読んでみたいです。
漫画家画力高いランキング2位「鳥山明」
現在は連載作品を持たないながらもレジェンドとしての存在の鳥山明さんですが、「週刊少年ジャンプ」に「ドラゴンボール」が連載されていた時期に、その作品を知らない人はいなかったといっても過言でありません。
鳥山明さんの漫画の特徴の一つにキャラクターの可愛さがあります。孫悟空からブルマ、とにかく可愛いのが特徴です。また「ドラゴンクエストシリーズ」のキャラクターデザインもされていて、モンスターのスライムを見て「可愛い」と思わなかった人は一人もいないでしょう。あくまでも推測です。
もともとディズニーアニメの影響で子供のころから漫画を描いていた鳥山明さんは、千の描き方はもとより構図の捉え方が非常にうまい方だそうです。
現在の若い読者が「ドラゴンボール」を読んでも、その作画能力と漫画としての面白さに驚かない人はいないでしょう。
また「Dr.スランプ」から日本にアメリカンコミックなどの影響がみられます。日本独自のオリジナルな漫画が生まれたのも鳥山明さんの影響が大きいと思われます。
そんな鳥山明さんを育てたのは当時週刊少年ジャンプの担当だった方で「Dr.スランプ」のなかで「マシリト」というキャラを登場させています。
また「Dr.スランプ」と「ドラゴンボール」の世界がリンクしているという不思議な感覚を漫画の中に登場させた漫画家としても知られています。実は同じ世界なのか、まったくわからないのに不思議と不自然ではないのがユニークな回でした。
また新しい作品を読んでみたい漫画家の1人です。
漫画家画力高いランキング1位「桂正和」
漫画における画力はダイナミズムが重要であるのは確かです。ですが一方で読者の無意識に訴えかける力、つまりストーリーに説得力を持たせられるかに比重を置く漫画家もいます。
桂正和さんは何方かというと無意識に対する訴える画力が高い漫画家で、特に「電影少女」は少年漫画に連載されながら、恋愛などにおける人間同士の関係性が実は無意識の領域にかなり支配されていることをかなり高度な領域と描写で描き出した傑作です。この「電影少女」だけでも桂正和さんの名前は漫画史に残るでしょう。
しかし、その後も漫画を描き続けていて現在では「ZETMAN」というヒーロー漫画を描いています。
かつて「ウイングマン」という「ヒーローに憧れる少年」を主人公にした漫画を描き、日常に到達した主人公から「ZETMAN」という「ヒーローであることを宿命とした少年」を主人公にする漫画を描くまでに到達した漫画家は類を見ないと思われます。
桂正和さんは日本が誇る漫画家の1人です。
今回は特に少年漫画に重点をおいてランキングを付けてみました。ここに紹介した漫画家の作品はどれも面白いので是非読んでみてください。